需要がないとは思いますが一部の人に刺さりそうなので海外プラレールの歴史について解説していきます
さすがに一度に全て解説するのは疲れるし文章も滅茶苦茶になる予感しかしないので、欧米編、アジア編の二部構成でいきます
今回は欧米編です
最初に海外にプラレールが輸出されたのは1964年、まだプラレールという名前が存在しなかった頃です
当時、トミーと提携していたChild Guidance Toysというブランドから、「Giant Double-O-Eight Runaway Train」という名前のセットの中に車体が水色で整形された電動超特急ひかり号が入っていました
ちなみにレールは提携先で用意したようで長さや幅はまったく同じでしたが、ジョイント形状が違うためプラレールの線路と繋ぐことはできません
売れ行きがどうだったかは不明ですが、提携先で販売されていたこともありプラレール製品の輸出はこれ単発で終わってしまいました
ここら辺から時系列がよかわからなくなってきます
1970年代中盤、トミーは提携先に頼らず自社の名前で輸出しようと考えたのか、D51の森林鉄道セットと遊園地シリーズ3種類をPlayrailの名前で売り出しました
しかし、売れ行きは悪かったのか割と早く消え、トミーの心は折れたのかしばらく提携による輸出が続くことになります
次にトミーが手を出したのは70年代後半のこと、ドイツはシュテルコ社と提携し、stelco junner expressの名でプラレールを輸出しました
輸出されたのはEF58、しかも単品火車世界を思い出す禍々しい色合いをしていました
▲シュテルコ社のセット(プラレール資料館様より)
C12、タンク貨車、客車などもありましたが、こちらは線路と同じく現地にて生産されていました
ちなみにシュテルコ社は79年前半には倒産してるのですが、何故か79年後半になってから生産された個体が見つかっているようです
シュテルコ社がぶっとび、自動的に提携もなくなってしまい、トミーは新しい提携先を見つけることにした...のかどうかはわかりませんが、この後提携を組んだのが大英帝国のPalitoy社です
Palitoy 社には再びC12の森林鉄道セット、貨物セット、遊園地シリーズセットが出されました
▲Palitoy社に輸出されたプラレールのうち、資料館に収蔵されている2種
こちらも売れ行きや評判はわかりませんが、前述のplayrailよりネットオークションでの出物が非常に少ないのでおそらく悪かったと推測できます
次はなんとスペインのGEYPER社と提携し、playrailを発売しました
後にも先にもスペインにプラレールの輸出が確認されたのはこれのみです
確認されているのは名鉄パノラマカー3種とD512種
情報が少ない上に60年代のゆうえんち金型が入っていたりオリジナル客車があったり全セットにシュッポー笛がついていたりとツッコミどころ満載なのでプラレール資料館様のページの方で確認してください
僕はスペインのセットについてもう調べたくないです
80年代後半、トラウマから立ち直ったのかトミーは次なる直輸出にでます
それがTOMY TRAINSとTOMY EXPRESSです
前者はイギリスやアメリカに、後者はドイツに輸出されていました
まずTOMY EXPRESSから解説しましょう
この商品は今までとは違い、ほぼ国内品と同様のものが使われました
車両は0系、100系、200系、スーパーひかり、C12、フラノエクスプレス(単品)、D51(単品)と国内品とほぼ同様
単品情景のタグは国内品を裏返して使っていたほど
違うところと言えば、レールが濃い青色なこと、車両の側面にTOMY EXPRESSと記入されていることぐらいです
割とすぐに消えたようで、ネットにもほぼ出回りませんが、単品の発売はこの後のtomica worldへの重要な布石となりました
TOMY TRAINSは初期は国内のプラレールよりもさらに幼児向けに開発されたと思われ、車両は寸胴になり、連結器は磁石のタイプとなりました
最初こそ車両がモデルがないSLと人形を乗せられる客車を販売していたものの、次第に考えが変わってきたのかHSTを製品化したり、アメリカ限定でアメロコを発売したり、挙げ句の果てにはユーロシャトルとユーロトンネルのセットという中々マニアックな品物を出しやがりました
しかし、これが功を奏したのか長期間発売され、外国の子供の心を掴むノウハウはこの無駄なマニアックさとともにtomica worldへ受け継がれました
TOMICA WORLD
ついに出ましたtomica world
このシリーズは知っているという方もいるのではないでしょうか
Tomica worldはイギリス、フランスなどの西欧州全域とアメリカにて発売されました
その名の通りトミカ(モータートミカ)を主体としており、プラレールはトミカの中の鉄道おもちゃという位置付けです
しかし、そのような位置付けだからと言ってこれまでの海外プラレールのように手を抜くことはなく300Xや485系など日本車両も売られましたが、TGVやヴァージントレイン、ユーロスターなどの現地車両が次々と産み出されました
▲発売された数々の現地車両(プラレール資料館様より)
単品や情景も幅広く展開され、トーマスシリーズも販売されるなど欧州プラレールはまさに最盛期を迎えました
2003年のリニューアルの際にはこちらでも行われ、400系など人気だったと思われるもの以外の国内車両は一掃され、新たに欧州には銀TGV、アメリカにはアムトラックが発売されました
▲2003年リニューアル時に発売された数々の車両
特に3つ目の青色のアムトラックは塗装の素晴らしさと幻と言っても差し支えないレア度から人気が高い
しかし、このリニューアルがあった一年後、突如この車両たちは姿を消し、トーマスシリーズのみが残ることになりました
そうしてトーマスのみが残った結果ブランド名も変えることになりました
それがThomas&Friendsです
トーマスシリーズのみになってもトミー技術陣の情熱が潰えることはありませんでした
瀬戸大橋のカラバリを発売し、国内品ではあり得ない巨大なセットを出すなど革新的な挑戦をし続け、ついには水蒸気によるスチームシステムを搭載したトーマスを作り上げました!
そう!スチームシステムは海外プラレールからの逆輸入だったのである!
しかし、そんな挑戦も無駄だったのか、2008年頃に現地プラレールの権利がタカラトミーから離れ、これも消えてしまいました
しかしタカラトミーは諦められなかったのか、トーマスの権利を売り渡した2008年、あるセットを販売しました
それがTOMY TRAINS SUPER DELUXE CITY RAILWAY SETです
20年ぶりにTOMY TRAINSの名前が復活したのも不思議なんですが、それよりヤバイのが凄そうなセット名と内容です
車両はアムトラックとこまちの2編成
ループ線や車庫などもあるクソデカレイアウトに情景も大量についています
家が広いアメリカならではのセットですね
しかし、タカラトミーは燃え尽きたのかこのシリーズはこのセットのみで終了してしまいました
ここまで長かった欧米輸出プラレールですが次が最後です
TOMICA HYPERCITY
これもTOMICAを主体として2010年頃、アメリカ、イギリスで販売されました
このシリーズの大きな特徴はトミカタウンとのコラボを前面に押し出したこと、そしてハイパーガーディアンシリーズの輸出です
▲私保有のHYPERCITY 85400
見ての通りセット名が存在せず番号のみで割り振られている
箱は欧米人の好きそうな黒と赤となり、セット内容も先ほどのアムトラックセットとまではいきませんが巨大なものが多くありました
単品販売やトイザらス限定品も存在しており、現在でも新しい種類が発見されるほどバリエーションも多かったようです
発売が近年というのもありますがネットオークションにも多く中古品が確認され売れ行きはそこそこだったと推測できます
しかし2013年頃には終了していたのが確認されており、シリーズ展開は終了してしまったと思われます
HYPERCITYの終了から10年間、欧米に専用プラレールは輸出されていません
もう二度と欧米にプラレールが売られる日は来ないのかもしれません
しかし、お忘れではないでしょうか?2008年、権利が渡った後のトーマスを
権利が渡ったトーマスはTrackmastarと名前を変えて再出発、徐々に範囲を拡大し、今ではトーマスおもちゃの一角を占めるにまでのしあがりました
今では線路は新規格となり、車両も姿が変わりトミー時代の名残は余り見受けられません
しかし、それでも1964年から続いてきた欧米輸出プラレールの子孫なのです
もしどこかでtrackmastarを見かける機会があれば、歴史の中に消えた欧米輸出プラレールのことも思い出してください
それでは